で、お二人さん
その影に気づかなかったのは不覚だった。
「いつまで抱き合ってるの衛宮君、セイバー?」
「う、ぎゃああああ!!」「っは!!」
俺の肩からにょきっと生えたように遠坂の首がいた。
びっくりして慌てて抱擁を中断する。
「・・・心臓に悪いです、リン」
「あらセイバー、久しぶりにあった一言がそれ?」
ああ、笑ってる、笑ってる。
あくまの笑顔だ。
召還されて直後に見たものがアレなんて、いたたまれないな、おい。
「無礼をいたしましたリン。・・・貴方にも会えて嬉しい」
「『にも』、ってのが引っかかるけど、ま、いっか」
そう言いながら
「私も貴方に会えて嬉しい。・・・おかえりなさい、アルトリア」
遠坂もまた、鎧を着た少女に抱きついた。
「ただいま、リン」
感動の再会を喜んでいる横で、ナータさんはこの光景に微笑んでいた。
「士郎くん」
「なんでしょう?」
「・・・良かったのかな。これで、良かったのかな・・・」
それは分からない。
英霊である以上、セイバーというクラスで喚ばれたアーサー王は何もかも選択することが出来なければ、義務も果たさなければならない。
「俺は・・・嬉しいです」
でも、嬉しい、それが本心だ。
こんな状態でも、聖杯戦争中でも会えたことがすごく嬉しい。
「そっか、そっか」
笑顔のままセイバーのマスターは答えた。
「セイバー」
「・・・すみません、マスター。我を忘れてしまいました」
遠坂から離れサーヴァントに戻る。
顔も笑みが消え、すっかり戦士としての顔になる。
「前々回、前回とセイバーとして戦い、今回も貴方の身をまた戦わせてしまうことを先に謝るわ。ごめんなさい」
「いえ、マスター、顔を上げてください。この身が貴方の剣になること約束します。それに・・・私はこの時代にまたくることが出来て・・・嬉しい」
嘘をつけない口だから本当なのだろう。
「うん、私の名前は、ナタリー・グリーン。そして、アーサー王にして最強のサーヴァント、セイバーよ、私と一緒に聖杯戦争を勝ち抜いてくれますか?」
「はい、この剣と共に勝利の道を切り開くことを約束しましょう。マスター、ナタリー」
雨の中、降りしきる雨の中、契約は完了した。

「セイバーさん・・・?」
家に帰ると桜が帰っていた。
タオルを用意していたのが面倒見の良い桜らしい。
「お久しぶりです、サクラ」
セイバーは鎧姿に気づかれないようにささっと着替えをすませていた。
無地の白いワンピースがセイバーらしい。
「・・・はい、お久し・・・」
うわああああああああああああん!!!!セイバーちゃあああああああああああああああん!!!!
どこっと異音がした後、相撲取りのようにがっぷつき、ごりごりと頭をセイバーの腹に押しつける藤ねえ。
帰ってたのか。
「た、タイガ・・・」
うわあああああああん!!!!いきなり帰っちゃうなんてひどいよう!!!ぐすっ・・・、士郎も藪から棒に国へ帰ったとしか言わないし・・・」
腰を絞り上げるようにセイバーに泣きじゃくる藤ねえ。
「タイガ・・・く、苦しい・・・」
「藤ねえ・・・セイバーが苦しがってる・・・」
うわああああああああああん!!絶対離さないもん!!セイバーちゃんがどっか行かないように離さないもん!!

「ナタリー」
「あ、アインツベルンのお嬢様」
面識は一応あるが初めて会話した。
「何のつもりなの?」
だから最初は魔術師の会話だった。
「・・・考え無し」
見かけとかけ離れてるお嬢様にそう答えた。
「・・・お願い。これ以上シロウを苦しめないで」
唐突に言われたその意味を理解することはできなかった。

I found a sun



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