暗闇に一人、男がいた。
正確に言えば老人である。
名は間桐臓硯と言った。

六話

-show again-


時間は丑の刻を過ぎた頃であった。
広い屋敷の一角にある八畳程度の部屋、椅子にもたれつつ、部屋に差し込む月光を浴びていた。
この屋敷にはこの老人一人しかいない。
かといって、不便なことはない。
一昔は居たのだが、一人は死に、もう一人は友人の家に居候している。
「ふむ・・・」
聖杯戦争後、要の無くなった桜をどう処分しようかと悩んでいた。
一日千秋の思いで待ち望んでいた聖杯戦争はお流れとなってしまった。
そうなると、次の聖杯戦争を待つしかないが、早くてもあと十年は待たなければならない。
――ある時、桜が遠坂の家に泊まる、と言い出した。
魔術師の家系にいるのだから甘ったれた事は許されることではないが、年頃の娘を閉じこめるのも世間体として良くない。
魔術師の家、つまり敵である遠坂の家に遊びに行かせるのも良いことではないが、――気まぐれで許可した。
結果、居候という形になってしまったが、最低十年もの長さだ、別にどうって事無いことだった。
――この日が来るまでは。

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