赤川四季が教会に着いたのは朝の5時頃であった。
あまり快適とは言えないが十分に睡眠を航空機の機内で取り、その後新幹線に揺られたのだ。
顔には出さないが疲れていた。
「はー。大変やな」
教会の扉を開ける。
埃は溜まってはいなかったが、掃除するところは十分にありそうだ。
その上、大量の書類がある。
ため息をつくのも仕方があるまい。

someone is somewhere

-slot-


それを目にしたのは教会の扉を開けてすぐだった。
信者が座る椅子、その列の一番前の椅子にあった。
「なんや、これ?」
ぱんぱんにふくれている茶封筒。
大きさはB4サイズでずっしりとした重量感があった。
危険がないか確かめてみる。
・・・無し。
魔力も感じなければ開いた瞬間爆発することもないだろう。
とりあえずその封筒を小脇に抱え、今日から自分が生活する部屋へと歩いた。

どさっと荷物を下ろす。
大きな荷物は今日の夕方届くとはいえ、小脇の荷物は体が応えるほどの量である。
大きく伸びをし、机の椅子に腰掛けるとあの封筒を取り出した。
「なんやろな」
前任者の書き置きだろうか。
いや、それはない。
前任の神父は聖杯戦争で死んだはず。
茶封筒の封を切り、ゆっくりと中身を取り出す。
勢い余ってどさっと中身がこぼれたが、危ない物は入っていなかった。
中身は、大量の紙、書類だった。
一枚一枚ワープロで印刷された内容は全て聖杯戦争に関すること。
クリップで留められた紙の束が前回の内容であった。
「ふーん。すごい細かいんやな・・・」
約20枚ほどでまとめられたレポートはおそらく協会に提出するものとほぼ同じクオリティであろう。
各マスター、サーヴァントの動き、そしてサーヴァントの各能力などが細かに記してあった。
特に目を奪われたのは、――各サーヴァントの真名がわかっていること。
一部のサーヴァントの名前は書かれていない。
しかし、セイバーの真名"アルトリア"、ランサーの真名"クー・フーリン"、アサシンの真名"佐々木小次郎"、バーサーカーの真名"ヘラクレス"。
これはおかしい。
彼らの真名を知っている者はマスター、もしくは聖杯戦争を管理したという前任の神父しか知らない。
いや、聖杯戦争の管理人でもわからないだろうか。
「・・・誰かがいるんやな」

――第三者の存在

目的は十中八九聖杯であろう。
「どうしたもんかな」
全く持って意図が掴めない。
例えばこのレポート。
おそらく第三者がこの教会においたと思われるもの。
何のために何故おいたのか。
目的は?
むしろそれは一体誰なのか。
「・・・」
とぎれとぎれに疑問の浮かぶ思考を整理する。
雑然とした脳内に余裕が出てきた。
深く深呼吸をすると、とにかく今は情報を、ということでレポートを隅々まで読むことにした。

遠坂の管理人に会うまでの数時間、ただひたすら机に向かっていた。

"someone is somewhere"out



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