駄々をこねた。
こねまくった。
こねまくりすぎて物凄い頑丈な餅が完成した。
結果として、完璧すぎるほど作戦成功。
行きのこの車は死ぬほど嫌な感じだったけど、帰りのこの車は乗るのがとても嬉しかった。

がったん、がったん。

車が揺れる。
なんだかそれが心地よい。
でも寝ちゃだめだ。
寝たら戻される可能性がある。
そいつはちょっとどころかとても困る。

がったん、がったん、がったん・・・。

が、睡魔はとても強かった。

菜乃の場合


「菜乃ちゃん、菜乃ちゃん」
「にゃ・・・?」
外を見ると太陽がばっちり見えてた空は今ではほぼ真っ暗に近い状態になっている。
「うお・・・、寝てしまった・・・」
これではパーフェクトシスターの名が廃るではないか、と自分に言い聞かす。
「ん・・・、あ!!」
起きあがり見えた外の世界は・・・、あの家がある住宅街であった。
「・・・ついたんだ」
戻ってきた、帰ってきた。
本当の我が家に、血は繋がって無くても史上最高の奴の住む家へ。
急いで車から飛び降りる。
もちろんその折、だだをこねていた時に買ってもらった物も忘れない。
「じゃ、ね」
血の繋がってる本当の母親に別れの挨拶をする。
無理矢理連れてかれたのだからこの程度でいい。
「あ、菜乃ちゃん!!」
"本当の母親"が呼び止める。
「・・・なに?」
「・・・また、来てね」
ただその一言だけ。
戻ってこいなんて言っても無駄だって事が分かったのだろうか。
「うん!"お父さん"によろしくね!」
その一言を言うと車は去っていった。
運転手の"母親"は見えなくなるまでずっと手を振っていた。

さあ、ここからが戦いだ。
「どうやって攻め込みましょーかねー」
ここは感動の再会風に演出するか、いやそれともしっとりするよりもずばっと切り込んだ方が奴には丁度良い。
「ぐぅっふっふっふ・・・」
笑みが出る。
本当はもう少し綺麗な笑いができるのだが自分のプライドが照れ隠しを命じた。
だってしょうがない。
さっきからずっとにやけっぱなしなのだから。
――同時に、ずっと目が熱い。
「な、泣いたってしょうがないもんね」
自分に言い聞かせる。
笑って再会しようって。
たかが2日しか顔を合わせてないのに泣きつくのも馬鹿みたいだ。
「・・・うん、よし!」
チャイムを押し奴が出てくるのを待つ。
同時に屈み込み脚にバネを作る。
頭の中のチビ菜乃は満了一致で抱きつき大作戦冬の陣を選択した。
――そしてドアが開く。
瞬間。
「ただいまお兄ちゃん!!」
獲物を狩るライオンのようにその胸に飛び込んだ。

摩尋の場合



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